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 信重は、攻撃の構えから渾身の突きを繰り出した。  大錫杖(だいしゃくじょう)の先端は寧々を貫き、愛夜叉へと突き進む。彼女の肉体と精神は、痛みも、何も感じない。  寧々の姿をした人ならざる者は、串刺しの状態で二本の刀剣を一振り、信重の首を()ねた。  宙に舞い上がった信重の(かしら)は、来世まで忘れぬよう寧々を見た。その瞳には、生涯愛した彼を見つめ、涙で頬を濡らす寧々が映っていた。   (寧々……お前への愛は、失わぬでのう——)
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