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受け取った懐中電灯でぐるりと辺りを照らしてみると、低い天井に木々が細い根を張る石造りの通路が真っ直ぐどこまでも続いていた。あまりにも暗すぎて遠くまで見えないが、恐らくこの先に出口があるのだろう。
歩き始めてから程なくして、ふと沸いた疑問を投げかける。
「ところで、この通路ってどのくらい続いてるの?」
「うーむ、ちゃんと測ったことがないからな。この屋敷からさっき車を停めた場所くらいだと思うぞ」
彼曰く、この地下通路を利用したのは記憶にある限りでは幼少期に1回しかないとのこと。推定した距離はその時の感覚なので、正確には分からないらしい。
「そっか。じゃあ、そんなにかからないのね」
幼少期の感覚で約100メートル+αと考えると、大人の足ではもっと短距離になるはずだ。かかっても恐らく5分くらいだろうから、気を引き締めておかねば。
「うむ、通路は一本道だから真っ直ぐ歩いていればそのうち着くぞ」
ダリアは持って来た飴ちゃんを口の中で転がしながら、右手で通路の先を指し示し、遠足を楽しむ子供のような顔で言う。
それを聞いたアイリスは、一本道なのだからそりゃそうだ――と笑いながら歩を進める。そしてダリアが何度か蜘蛛の巣のトラップに引っ掛かりながらも、ようやく通路の突き当たりまで辿り着く。
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