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突き当たりには小さな階段があり、その先の天井部分に分かり難いが出口のようなものが見受けられた。押し上げた石畳の隙間から外を覗き、懐中電灯でさっと照らし状況を確認する。
「誰もいないみたいね」
アイリスに続きダリアも同様に隣からひょこっと顔を覗かせ、辺りを見渡しながら一言。
「うむ。今のうちに侵入するのだ」
彼の言葉にひとつ頷き、頭上を塞ぐ石畳を完全に退けると、隠し通路に繋がったその部屋へと足を踏み入れる。
そして部屋の隅には、木製の机と椅子が設置されていた。その机の上にあるものを発見し、アイリスは思わず声を飛ばす。
「ダリア、見て!」
足早に近づいた机の上には1枚の紙切れが置かれており、その断面は確かに見覚えのあるものである。
まさかと思いダリアに懐中電灯を預けると、鞄の中から本を取り出し開く。両方を照らし合わせた結果、断面がぴたりと一致したことから、それは紛れもなく本の欠けたページだった。
確か、欠けたページに書かれている内容は『契約』についてのはずだ。アイリスは机の上の紙切れを手に取り、本の破かれたページに合わせ内容に目を通す。
「これって……」
そこに綴られていた内容に、アイリスは思わず言葉を飲む。そのページにはこう書かれていた。
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