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『ロベリア――契約とその代償
ヴァンパイアの祖であり力の象徴、ロベリアと契約することで、自身の望みを叶えられるほどの力を得るだろう。その証として、契約者の瞳は赤い色に染まる。
ただしそれが成される為には、複数の命を代償とし、ロベリアに捧げなくてはならない。よってこの契約は禁忌とされた。』
これで分かった、元々深い青色だったはずのダイアンシスの目が赤かった理由。彼は禁忌に手を出し、契約をしてしまったのだ。
すぐ側で、がりっと何かが砕ける音が響く。ダリアが口内の飴玉を噛み砕く音だ。
ふと隣に立つダリアを見ると、何かを思い出すように半目し、眉根を寄せ複雑な表情を浮かべていた。実の兄が禁忌に手を染めていたのだから、そんな表情になるのも無理もない。
「ダリア」
あまりにも重い事実になんと声を掛けて良いやら分からず、ただ遠慮がちに彼の名前を呼ぶ。すると彼はひとつ長い瞬きと共に嘆息し、重い口を開く。
「昔、奴が部屋で何か懸命に調べているのを見たことがある。その正体は、きっとこれだったのだな」
次第に点と線で繋がる答え。しかしそれは同時に、兄ダイアンシスが自身の願いの為、同胞を贄にしたことになる。
だが意外にも彼は顎に手を当てて「ふむ」と唸り、自問するかのような口調で言葉を紡ぐ。
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