解体工事

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こういうときの授業というのはとても長く感じる。気を紛らわそうと外を見たり、ぼーっとしてみたり、クラスメイトの観察をしてみたりもするけれども、落ち着かない。時間を進めたいときに有効な手段としては寝るということ。もちろん寝る行動は試みたが、こういうときは寝れるはずもない。遠足や修学旅行の前日に寝れないのと同じで心がはしゃいでしまっている。 相川さんのことで頭いっぱいで、無意識のうちに相川さんを見つめていた。彼女は険しい表情をしてスマートフォンを見つめている。 「相川さん、どうかしたの」 授業中ではあるが気になってしまい、思わず声をかけてしまった。 「ううん、どうもしてないよ」 微笑みながら返事をしてくれたが、声は震えていた。 「先生、相川さんの体調が悪そうなので保健室に連れて行きます」 相川さんは驚いた表情のあと、小さな声でありがとうと言い、目には涙を浮かべていた。
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