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(僕は今、何か聞き間違えなかっただろうか)
「ーーあっ、鍵ありました!」
(あの里依さんが、僕に)
「外しますね〜。うん、これで大丈夫です! さ、305号室に戻って楽しいハロウィンの続きをですね」
(ドキドキするとか言うわけが)
僕が固まっていると、手錠は僕が思っていたような従姉の悪意などなく、簡単になくなってしまった。
「......緒方さん?」
里依さんはこんな性格だから、繋ぎ止めるものがないとどこかにフラフラと飛んでいってしまう。いつかは誰かのものになってしまうとしても、今この瞬間だけは僕が独占してもいいのではないだろうか。
「里依さんはーー」
可愛いと言いたかった。けれど、里依さんの少し期待をはらんだ目を見て何も言えなくなってしまった。
(可愛いってたった4文字なのに、言えない)
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