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ココア粉末を少量のお湯で練ったものにチョコレートを砕いて入れる。鍋でほどほどに温めた牛乳を注いでホットチョコレートとココアのあいのこにした。里依さんはいつものソファに腰掛けており、火傷しないように慎重に厚めのマグカップを手渡す。
「沁みる甘さですね!」
両手でマグカップを抱える彼女を盗み見ると奇抜な格好をしていた。
ハロウィンなのだから魔女や天使、シスターといった格好ならわかる。しかし、僕には帽子にお札を付けた仮装はあまり馴染みがなかった。
(いや、僕がハロウィンのイベントに縁がないだけか)
そもそも真や神倉がいなければ僕が季節行事に関心を持つこともなかっただろう。今年のモチベーションが少しだけ高いのはきっとーー恋をしたからだ。
(多分、当てて欲しいのかな)
里依さんは先程からこちらを期待の眼差しで見ている。そういえば、中華ゾンビのような仮装も流行っていた気がしなくもない。
「......キョンシー?」
「正解です! メグちゃんに絶対に似合うからと選んでいただいたのですが、その......どう......ですかね」
メグというのは彼女の従姉だ。確かに本人が顔を赤くするぐらい今回の格好は際どかった。大きくあいた胸元が大胆で、ミニスカートとスケスケのハイソックスの間は素足のようだ。紐飾りやリボンなど乙女チックなあしらいはついているものの、格好自体は露出のせいでキュートというよりはセクシーに分類される。首に巻いているチョーカーから伸びる鈴と紐が普段より強調された胸の谷間に向かっていて思わず目を逸らす。
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