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彼女が僕の友人を好きな以上、この恋が叶わないことは知っているのだが、イベントに浮かれたということで思い出をつくるのは罪ではないはずだ。
「今はないよ」
「砂糖や小麦粉のストックを必ず置いておく緒方さんが?」
「うん」
「お月見の日にお月見団子を揃えてワクワクしていた緒方さんが?」
「......うん」
疑われているが、今の僕はしらを切り通すつもりだ。ギリギリ嘘でもない。それに僕には真から教わった里依さんを懐柔するある言葉がある。
「まさか”社会人の先輩がイタズラ内容を考えてきてない”とか」
その一言に里依さんは目の色を変える。
ーーガチャリ
里依さんは僕の手を掴むと、どこからか取り出した鉄製の手錠をして、僕と里依さんの手を繋いだ。実に嫌な予感がした。
「じゃあ、私。遠慮しませんよ」
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