第二章

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生い茂ってる草を手でどけながら湖の側に 弱りきった狼を膝の上に寝かせた。 チャプ 琴は両手で水をすくうと狼の口元に運んだ しかし水は狼の頬に流れただけだった。 いつの間にか気を失っている狼に水を飲むことは出来なかった ぅ~んと琴は考えると水を口に含み 狼を抱き上げキスをした。 ゴクゴク 狼は一瞬ピクッと体を動かしたが素直に 琴に体を預け,前足で琴の腕を掴んだ。 しばらくすると突然狼がぁのコバルトブルーの 瞳を見開き思い切り琴の膝を蹴った。 琴「…痛っ--!」 狼はチラリと琴の方を見た。 琴「もぉ………大丈夫??」 ニッコリと優しい眼差しで狼に笑いかけた。 狼「………ワォーーーーン!!!!」 狼は一声上げると体を震い, 琴の前から去った。 琴「ぁっ!……… 行っちゃった……… まぁ大丈夫そぅだし心配しなくても良いかな」 琴はまた一人ぼっちになり淋しさを 身にしみながらも自分も少し水を飲み また当てもなく歩き出した。 気が付けば太陽は地平線の彼方からうっすら 見える程度に落ち,辺りは暗闇になって 夜の静けさと冷たい風が琴の体を包み込んだ。
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