第一章

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「ハハッ、 大丈夫だよ。 でも珍しいなぁ 琴ちゃんがこんな失敗するなんて。 彼氏の事でも考えてたかな??」 「いえ、本当に申し訳ありませんでした。」 お客様は、固いなぁと寂しく言って酒をクイッと飲んだ。 このお客様は、良く来ていて頂いて とても優しく紳士的なおじさんだ。 でも、時々からかわれちゃう時があったら流しちゃうんだけどね。 「ハァ~… 琴、 下がってなさい!! すみませんね、お客様。」 母は私にきつく言うと、お客様に頭を下げて謝っていた。 「…はい。」 私は礼をしてから、襖を開けお座敷から出た。 ハァ~~ 失敗しちゃったなぁ…… 「琴!! 待ちなさい!! 何してるの…貴方はこの篠崎旅館の 跡取り娘なのですよ。 こんな失敗があっては」 「はい、分かっています。 すみません、反省として蔵の掃除をしに行きますので失礼します。」 「琴、待ちな」 私は、母の言葉を聞かず早々に走り去った。
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