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「チカ、わりぃ。考えてもどうしようもねぇことで、ぐるぐるして心配かけた。けど、社会科見学の件は謝らねぇぞ。迎えの件もだ。今後も時間が許す限り、お前と過ごせる機会を俺は逃さない」 「よかったぁ。いつものいっちゃんだ。おかしなイヤイヤをやめてくれて、よかったぁ。自分かってで、きょうあくなお顔の『かっこいいおれさま』にもどってくれて、チカ、ほっとしたよー」 「ん? ちょい待て。俺は今、今後も変わらずに学校まで迎えに来るって宣言したんだぞ。お前、さっき、初等科に立ち入り禁止って言ったろ。それを俺は拒否するって宣言だ。いいのかよ、そこをスルーして」 「いいの。さっき、チカがいっちゃんにおむかえ禁止って言ったの、チカのほんとの気持ちじゃないの。ほんとはおむかえに来てくれるの、すごくうれしいのに、うそついたの。ごめんなさい」 「は? 嘘?」  壱琉としては、どれほどチカに『恥ずかしい存在』と思われても会える時間を自ら減らすことは断固拒否だと言いたかっただけで、それは自分のわがままだと自覚していたから、堂々と病み宣言しつつもチカを宥めるつもりでいた。が、その必要はないと言われ、大いに戸惑う。
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