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「俺に、初等科に立ち入り禁止って言ったことが、嘘? お前の本心じゃなかったってことか?」 「うん。ほんとはそんなこと言いたくなかったけど、言ったの」 「なんで?」 「……おこらない?」 「怒らない」 「いっちゃん。うそつきはきらいでしょ? チカ、いっちゃんにうそついたよ? おこらない?」 「怒らない。お前に怒るわけがない。だから、俺に嘘をついた理由を教えてくれ」  愛らしい天使を抱き上げ、薄く笑った壱琉がその本領を発揮。とろりと甘い美声でチカの不安を溶かす。 「あのね、えーとね……いっちゃんがかっこいいから、うそついたの」 「……あ?」  安心と申し訳なさ、両方の感情が混ざった複雑な表情でのチカの発言に、再び壱琉が絶句した。 「だって、いっちゃんってば、かっこいいんだもん。キレイなんだもん。かみの毛はサラッサラだし、すっごくいいにおいするし、モデルさんよりスタイルよくて、声はふぇろもんがたっぷりで。そんなステキ男子、おとなの女の人たちがほっとかないでしょ? チカみたいなチビっ子より、おにあいの人がたくさんいて、その人たちに取られちゃうといやだから、チカのおむかえに来たりしないで大学にだけ行っててほしかったの」 「え……?」  絶句している間に、目を潤ませたチカが一息に発した説明をしっかりと聞いたのだが、可愛らしい声が吐露した内容が全く頭に入ってこない。理解できない。
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