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「ちょっと待て。お前の言い分を聞いて混乱してきた。整理させてくれ。今から俺が質問することに答えろよ」  これが他の人間相手なら、支離滅裂なことを言うんじゃねぇ、と一喝して終了だが、愛する天使にはとことん寛容である。 「俺が、誰に取られるって?」 「おとなの、キレイな人たち」 「なんで、そんな心配した?」 「いっちゃんが、かっこいいから」 「それで、『いっちゃんは、初等科に立ち入り禁止でーす』の宣言になったのか?」 「うん。でも、チカが一番言いたかったのは、校外の行事に来るのはやめてってことだったの」 「この前の社会科見学か。あの日、俺、何かしたか?」 「いっちゃんは、なにもしてない。鉄道博物館のお姉さんたちが、みーんな、いっちゃんを見てて、いっちゃんに話しかける人がいっぱいいたのが、いやだっただけ」  あぁ、アレか。  あからさまに肩の力を抜いた壱琉が、ホッと息をついた。  なるほど、やっと納得できたぜ。
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