8/11
61人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「えーと……あのね、もうだいじょうぶだよ。かなしいのはもう終わったから、あやまらないで。いっちゃんの『ぎゅーっ』で、チカ、めちゃめちゃ元気になったよ?」 「チカ、お前……」  こんな、ふんわりした抱っこで『めちゃめちゃ元気』に? マジか。そんなわけ、ねぇだろ。さっきまで、目ぇ潤ませて萎れてたじゃねぇか。  なのに、その原因の俺を励ますために笑ってくれてる。あああぁっ。どんだけ思いやり深いんだよ、お前は。  可愛い、可愛い、可愛い! 「あれっ? いっちゃん? ちょっとだけ、いたいよ? ちょっとでいいから、おてて、ゆるめて?」  歪んだ愛情が限界突破したせいで幼い肢体を抱き潰しかけたが、可憐な制止の声が壱琉を押しとどめた。 「わりぃ」  明らかに理性が飛んだ状態でのハグだったから『ちょっとだけ』の痛さではなかったと思われるのに、オブラートに包んだ『いたいよ』に、壱琉が唇を噛みしめた。  やっぱ可愛いな、俺の天使は。その上、気遣いの上限が無い。  こんな最高に〝デキる〟小学生、どこにもいねぇ。可愛すぎて離せねぇ。  このまま攫っちまうか? 誰の邪魔も入らねぇ場所に閉じ込めて、思う存分、抱きしめたい!  好きだ、好きだ、好きだ!
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!