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「えーと……あのね、もうだいじょうぶだよ。かなしいのはもう終わったから、あやまらないで。いっちゃんの『ぎゅーっ』で、チカ、めちゃめちゃ元気になったよ?」
「チカ、お前……」
こんな、ふんわりした抱っこで『めちゃめちゃ元気』に? マジか。そんなわけ、ねぇだろ。さっきまで、目ぇ潤ませて萎れてたじゃねぇか。
なのに、その原因の俺を励ますために笑ってくれてる。あああぁっ。どんだけ思いやり深いんだよ、お前は。
可愛い、可愛い、可愛い!
「あれっ? いっちゃん? ちょっとだけ、いたいよ? ちょっとでいいから、おてて、ゆるめて?」
歪んだ愛情が限界突破したせいで幼い肢体を抱き潰しかけたが、可憐な制止の声が壱琉を押しとどめた。
「わりぃ」
明らかに理性が飛んだ状態でのハグだったから『ちょっとだけ』の痛さではなかったと思われるのに、オブラートに包んだ『いたいよ』に、壱琉が唇を噛みしめた。
やっぱ可愛いな、俺の天使は。その上、気遣いの上限が無い。
こんな最高に〝デキる〟小学生、どこにもいねぇ。可愛すぎて離せねぇ。
このまま攫っちまうか? 誰の邪魔も入らねぇ場所に閉じ込めて、思う存分、抱きしめたい!
好きだ、好きだ、好きだ!
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