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「いっちゃん、聞いて。あのね、いっちゃんはしばらく初等科に立ち入り禁止でーすっ」 「……何? 立ち入り禁止、だと?」  宮城壱琉は、かつてない衝撃に襲われた。 「当たり前でしょ?」  鳶色の無垢な瞳を、信じられない思いで見返す。 「そんな……まさか、お前……俺に飯を食うなっていうのか?」  ただでさえ、お前が適齢期になるまで、最低でも十年は生殺し状態が続くんだぞ? 「ごはん? なんのこと? チカは、学校に来ちゃだめって言ってるだけだよ」  それだよ、それ。なんで、俺の楽しみを奪うようなことを言うんだ。他ならぬ、お前が。  お前という栄養素を摂取せずに、どうやって生きてゆけと? 「学校までおむかえに来てくれるのはうれしいけど、チカは一人でもバスで帰れるし、いっちゃんは大学のお勉強をちゃんとがんばってよ」 「心配すんな。大学の講義はきっちり受けてる。その上でお前んとこに行ってるんだ。行くっつっても週に二、三回の頻度なんだし、お前が気にすることは何もねぇ。問題無し」  むしろ、お前の『可愛い』を摂取できないほうが俺にとっての大問題だ。本心では毎日でも迎えに行きてぇところだが、面倒な雑事(大学生活)のせいで思うようにいかねぇんだ。  あー、腹たつ!
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