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しかし、それは竜神が加護をしていたこそで、青年の漁の腕も魚の目利きも関係なかった。
青年が異様に長い髪の青年のいる場所まできた時には、髪の長い青年は不快な表情を隠すことはしなかった。
「あんた、こんなところで何をしてるんだ?ここは竜神様の住み処だぞ」
「うるさいな。我が竜神だ。我の住み処に勝手に入り、それを言うか」
「いやいや、あんたはどう見ても人間だ。竜神様は竜の神様だからでかくて人間の姿などするものか」
竜神と名乗った青年は話にならないとでも言いたげな表情で、無作法者を視線で威圧する。
「ご大層な人間様にでもなったつもりかい?人間よ、貴様は不相応だ」
竜神の青年は小さくクスッと笑うと、指を軽くパチンと鳴らすと、無作法者の青年の姿はその場でピチピチと跳ねる魚に変わってしまった。
「君は人間になるべきじゃなかったね。それじゃ…いただきます」
生きた魚を貪るようにして食べて、竜神の青年は手の甲で口を拭う。
全て…骨も血合いも平らげた。
「ごちそうさまでした。新鮮な魚は美味しいねぇ。でも、みんな忘れちゃったのかな?竜神との掟の一番最後の掟…」
──いかなることがあっても、竜神を解禁しないこと──
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