青年が竜神になったのは…

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竜神の青年は、元はあの無作法者の青年が住んでいた村に住んでいた漁師だった。 青年が暮らしている頃から、掟は守られていた。 青年も何となく守り、大した不満を感じることなく暮らしていた。 僅かに疑問が小さな炎になって燻った。 すぐに消えるはずだったのに、炎が揺らめいて大きくなってしまった。 青年は竜神が定めた日より前に漁をして、竜神が定めた日より前に魚を食べた。 不思議と胸が踊る。 何だかしがらみから解放された気がした。 すぐに村中に知れ渡り、青年は竜神の住む洞窟に行かされた。 誠心誠意詫びてこいということだ。 洞窟の中を松明を頼りに進んでいくと、最奥にいたのは、上半身は美しい女性だが、下半身は大蛇という"龍神"だった。 「お前一人が掟を破ったことで、民は苦しむ間もなくいなくなるだろう。妾も妾の父の海神も大変怒りを感じておる。お前はこの先、この咎を背負って生き続けよ」 「咎…?」 「不老不死となり永遠に死ねない。お前は人間だが"竜神"となり、民を造り村を造るのじゃ」 龍神がフッと姿を消すと、竜神となった青年は、龍神のいた場所に座る形となり、その場から動けなくなった。 けれど、何故か自分の住んでいた村の景色が見えた。 しかし、村は海に沈んでいっている。 「村が…。これが…咎…?」
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