青年が竜神になったのは…

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龍神の言葉の意味がよく分かった頃には、竜神として村を造り、民を造った。 民は海で死んだ人間で、その人間に最後まで寄り添っている魚を、自分の血を飲ませて、その人間にした。 血を飲ませると言っても、ほんの一、二滴だったが、たくさんの人間に変化させるとなると、それなりの血は使うワケで…。 竜神は非常に疲れやすくなり、洞窟の奥で、長時間眠ったり、遊びにくる魚と戯れるくらいしかできなくなった。 不老不死の身では死ぬことはない。 人間として生きる望みはなくなった。 時間だけ流れる。 自分が人間の紛い物になったら、自分が住んでいた村も民も紛い物になった。 本物はどこにもない。 全部嘘なのに真実になる怖さ…これが龍神の罰かと竜神は肩を落とした。 「いつになれば…僕は許されるんだろう…?」 その声に答えてくれる者も、応えてくれる者もいなかった…。
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