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「えっ……」
心臓が一瞬止まる。まさか、バレて――思わずアツキの方を振り返る。
右手で持った何かが、自分の顔へと向けられていた。
予想外の異物を、その目が捉えてしまう。
裂開したイガの中にみっちりと詰まっていたのは、三つの眼球だった。別々の方向を向いていたそれが、ぎょるんと一斉に向きを揃える。
それは、虫眼鏡で太陽を覗くのと同じ禁忌。
魔の瞳と、少年は目を合わせてしまった。
「ウギャ」
その瞬間、右目に信じられない熱が走り、激痛にたまらず倒れ込む。横になった籠から、必死に集めたイガグリたちがざあっと転げ落ちた。
「タカシは気付いてなかったと思うけどさ、栗もどきってよく見ると、針がほんの少しだけ細いんだよね」
まさか、そんな判別方法が――流血する右目を抑えていると、眼帯を奪われる。
目を閉じたままではろくに抵抗できない。だが、左目だけは何としても死守する。
「お前っ……ふざけんなよ!」
右目を灼く痛みに呻きながら、必死に威嚇する。そんな空しい抵抗はどこ吹く風でアツキは言った。
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