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言い訳をしようとした瞬間、突如アツキが絶叫する。その尋常ではない悲鳴で、危機を察知した身体が反射的に光を求めた。三つの瞳が再び愚者を捉える。
「プッ、なんちゃって」
嵌められたと理解する前に、もう片方の目にも激痛が走る。完全に視界を奪われた。何も見えない――本能的な恐怖が頭を支配する。
「ふう、すっきりした。それじゃ、みんなには見つからなかったって言っておくね」
「ま……待って! 俺が悪かったから!」
半狂乱になりながら喚く。
しかし、アツキは冷たい声で言い放った。
「栗が欲しいんでしょ? いくらでも拾えばいいよ」
無情にも、足音が遠ざかっていく。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 反省します! だから待って、置いていかないで!」
喉が千切れるくらいに叫んでも、もう禁足地には誰もいない。
時刻は十七時を迎えた。
そこからは、人間が存在してはいけない時間帯。
誰もいないはずなのに、あちこちから何かが蠢く音が聞こえ始める。
茜色の空に、一羽のカラスが飛んでいった。
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