13人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、選ばれた十三名の生徒は、四十名の男たちに代わる代わる背負われ、山を登っていた。栗拾いの会の人たちらしい。どの男もやけにがっしりとした体格だ。タカシはそれが少し気になった。まるで体育の先生たちに引率されている気分だ。このまま運んでもらっていいのだろうか。
緩やかな傾斜を進んでいくと、やがて開けた場所に辿り着いた。
生徒たちを引率していた男のひとりは、下ろした子供たちを集め、無言で手招きをする。
「あれが見えるか?」
「あれって……神社のやつ?」
彼が見つめる方向には、鬱蒼とした茂みの中に、小さな赤い鳥居がぽつんと立っていた。奥は日差しが遮られ、離れた場所からではよく見えない。
何だ、あれ。
その異様さは、タカシでも一瞬で理解できた。どうしてあんな場所に鳥居が。まるで別世界への入り口のようだ。
男たちは眼帯と軍手、腕時計と竹製の背負い籠を生徒たちに配布した。何故栗拾いに眼帯がいるのだろう。彼らはその意図が分からずにただ困惑する。
やがて、他言無用の秘密が子供たちに教えられた。
最初のコメントを投稿しよう!