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「あっ!」
少女の声に、他の生徒たちが振り向く。
子供たちは一斉に察する。
あいつ、外れを引いてしまったんだ。
「あ、あ……どうしようこれっ」
不運な少女はただ狼狽える。次第に何か舌舐めずりのような音が鳴り、地面を向いている方から、得体の知れないピンク色の触手が伸びてきた。
「バ、バカッ! 早く唱えろよ!」
「えっな、何だったっけ!?」
恐怖で彼女は完全にパニック状態になっている。粘液を纏った触手は、水管を伸ばすアサリのように、ぬるりと少女の手へ迫る。あわやそれが触れようとしたその瞬間、隣の友人はとっさに叫んだ。
「ツブシメサマツブシメサマ、ワレラワレラ、ハラカラナリ」
触手がぴたりと停止した。
やがて、それはゆっくりと殻の中へ戻っていく。
「ほら、目ぇ瞑ってるから、さっさと遠くに捨てろ」
「う、うんっ」
少女は速やかにそれを処理する。
危機が去ってからも、子供たちはひどく震えていた。
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