卯月双子姉妹

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 私は咥えていたリードをリガチャーに取り付けて、チューニングのための音出しをした。  それに合わせて、後輩のクラリネットの音が重なり、さらにギターの音、カホンの音が重なる。  何曲か合わせていると、入学説明会の途中なのか、何人かの親子が信徒席に座って私たちの演奏を聴いてくれていた。 今度新入学生となる子のほとんどは、それぞれの母校の制服を着ている。私服の子は、きっと制服がない中学校だったのだろう。  そうして、みんなで校歌を演奏し終わった時の事だった。 信徒席から駆け寄ってくる女子が一人。 「あ、あの~。 入部、お願いできますか? 私、ブラバンでフルートをやってました!」  そう言って、目をキラキラさせる彼女は、少しだけ気が強そうだった。そんな姿に、どこか自分を重ねていた。 「もちろん!」  私の言葉に続けて、スズカが 「四月になったら、ぜひおいで! 待ってるね!」  サムズアップしながら、にっこり笑ってそう言った。  音楽は誰かに繋がり、引き継がれていくものなんだよね。 さて、これからも、私たちの音楽を奏でていこう!
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