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そうしていると、途中から誰かに抱えられ、ふんわりと降下している感覚になった。
やがて目を開けると、豊かな森のなかで、西洋の騎士風の鎧を着けた人にお姫様だっこされていた。
愛しのコウジさん!
……と一瞬思ったのだけど、コウジさんにしてはちょっといかついかなぁ。
コウジさんはもっと華奢だし、オンナ顔だし……。
でもどっかで……?
コウジさんは、私の二つ上の先輩で、すごく憧れていた人なんだ。スゥィート・メイプル・ムジクの立ち上げのすぐ後に手伝ってくれて、それでね、告ってくれたんだよね~。
そんなコウジさんは、もうすぐT音楽大の三回生になる。
私も来年度からT音楽大生になるんだよ!
そんなことを思っていた時の事だった。
かっこよくふわりと地面に舞い降りたユウカが、私に向かってきているのだけど、明らかに怒っているようだ。
地面に響くヒールの音が、ものすごく力強い。
私はその時、まだお姫様だっこされていたんだよね。
「ちょっと!あんた!
私のリンコになんて事すんのよ!
私のものに気安く触らないでよ!
それは私の役目なの!
土下座なさい!
今すぐに!」
プンスカと、めちゃめちゃ激おこモードで言っている。
それにしても、土下座って……。
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