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「おはよ、グータラナナセ」
開口一番にそんなことを言われた。
「……そんなしょーもないこと言いにきたのか?」
先に歩き出して行ってしまう。待っていたんじゃないのか、と小走りで明楽に追いつく。
「ストーカーナナセ」
「いや同じ方向だから」
数歩後ろを歩く。もしかして僕の準備が遅すぎて怒ってんのか? と思ったが別に約束していたわけではない。してなかったよな、と確認しようとしたら「意気地なし」と呟いたのが聞こえた。
「あ? なんか言ったか?」
「なーんにも、意気地なしナナセとしか言ってない」
「何か言ってんじゃねーか」
「お、今日はいつもより口調が乱暴だね。何かいいことでもあったの?」
まったく正反対な気もするが、あえて皮肉っぽく言ってみることにした。
「あぁ、明楽が迎えにきてくれたからな」
返事は返ってこなかった。振り向くとじとっと見られていて目を合わせること数秒、明楽は破顔した。ぶっと吹き出してから周りも気にせずに大笑いしている。腹を抱えるほど面白いことなんてあったか、と疑問に思う。
「っはぁ、おっかしぃ。のんきナナセ! 先に行っちゃうよ~」
「あ、おい待てよ」
明楽の背中を追いながら、そういえば今日の七成委員会の内容ってなんだっけか、と記憶を漁る。しかし思い出せない。「まぁいいか」と楽観七成を駆使して気にしないことにした。
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