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「関係の修復なんてできるのかな……それに失敗したら? 粘着七成は平気なんだろうけど、うぅ学校、行きたくない。きっと周りは僕のことを笑いものにするんだ……」
「そもそも『わからなくなった』って何がだよ。わからなくなったなら聞けばいいじゃねーかよ。なんでわからないままで別れてんだはったおすぞ」
「全く、野蛮きわまりないね。別れた理由の一端がわかった気がするよ」
「あぁ? なんだと?」
「わかっているのか? 私は君たちで、君たちは私だ。誰かが不評をくらうと全体に関わるんだよ。少しは自重してくれないか恥ずかしい」
「恥ずかしいのは臆病七成だろ」
「え、えぇ!?」
「うじうじうじうじと男らしくもねぇ。なさけねぇ姿していらつくんだよ」
「そ、そんなこといったって……」
「まぁまぁ、これが僕である以上は今更なにをいっても仕方がないじゃん。それよりもさ、今後どうするべきかを話した方がいいんじゃないかな」
「話すっつったってあいつらはどーすんだよ」
怠惰七成はクッションに埋もれて寝息をたてている。粘着七成はノートに鉛筆で何かを書き殴っていて、臆病七成にいたってはいすの上で体育座りをしてぶつぶつつぶやいていた。
「こんなんじゃ嫌われるなんて当たり前だっつーの」
「おそらく『だから別れましょう』のだからにつながる理由が『わからなくなった』原因とつながるはずだ」
「も、素子さんが本当に好かれているのかどうかがわからなくなった……とか」
「なんで素子が俺のことを好きになったかわからなくなった、って可能性もあるだろ」
「逆に私が素子を好きになった理由が彼女自身の自己認識と乖離があってって線もありますね」
「単純に僕と付き合うってことがわからなくなって別れたとか?」
「きっと彼女はそういう時期だったのだ。全国的な平均周期と事前のストー……観察からおそらくそうだ。そしてそれを知りながらメンタルケアまで行えなかった。こんなに尽くしていてそこを怠ったから期待と違った。だからということか」
「というかてめーらのせいだろ、そんな性格してっから嫌わ――」
ばっと目が開いて身体が遅れてびくっとした。一瞬ここがどこかわからなくなる。そのまま数秒思考を停止させて気持ちを落ち着かせてからようやく起き上がってベッド脇のカーテンをめくった。
「……不毛だった」
少し白みかかった青空に不釣り合いな息を漏らす。身体をめいいっぱい伸ばしてからもう一度息を吐いてベッドを下りた。
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