解禁

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そんなこともあって俺はストレス外来に行くことにした。 実は前から電車から見える ストレスに悩む貴方 一ヶ月でスッキリさせます という看板が気になっていたのだ。 そこでの診断はとても簡単でお酒もギャンブルも女遊びも止めれませんと告白すると 「この薬を食後にお飲みください」 とだけ言われ、処方されるがまま薬をもらった。 「何なんだあの医者は…」 人の話を聞いていたのか分からないくらい素早い診断だった。 まるで回転が悪くなるからと言う理由でさっさと追い払われた気分だ。 薬が安かったからいいものの効かなかったら文句言ってやろう、そう考えていた。 食後その医者に処方してもらった薬を飲んで寝てみる。 天井を見つめていると白い蒸気のようなものが体を覆い始めた。 そしていつの間にか眠りについてしまった。 翌朝「あなた、ねえあなた。起きて」 目が覚めるとカミさんが体を揺すって俺を起こそうとしている。 「ああ、おはよう」 体を起こして腕を挙げ伸びをすると深い眠りだったのか体が軽い。 洗面所で歯を磨きついついハミングが出て笑顔を鏡にうつすと何だか自分が自分でないようにいい顔をしている。 「おはようございます!」 「お、おはよう。今日は機嫌が良さそうだな」 いつもは酒のはしごが多く体調がよろしくないことが多いけど、今日は自然と笑顔が出るのだ。 酒のはしごがストレス解消に繫がると思っていたけどしばらくやめてみようとも思った。 何しろ夜のあの夢のここちよさがあればやめれそうな気がするのだ。
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