解禁

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夜、布団の中で天井を見つめていると白い湯気に囲まれた。そこは木の匂いがほのかにして鳥の鳴き声が遠くで聞こえる。 小学生の頃の夏休み、Tシャツで短パン姿で自転車で山の裾野まで漕いでキレイな川でよく遊んだものだ。 暑さと対照的に水の冷たさがとても気持ちいい。 「ははは、懐かしいな、ははは」 そうつぶやくと蝉の声がやけに耳についた。 「やけに騒がしいセミだな」 そう思って木の上を見るとセミはどこにもいないが代わりに人が上からこちらをみつめている。 「さあ、起きて、あなた」 「うわっ」 セミだと思ったのは目覚まし時計で段々と大きくなって耳障りだ。 「お、おはよう」「朝ごはんできてるからね」 とはいえ、最近はよく眠れるせいか身体が軽いのだ。 「先輩、今日はお酒飲みに行かないんですか?」最近誘わなくなった後輩が誘われなくなって心配になったのだろうか、自分からそんなことを言い始めた。 「おお、最近はチョット酒を控えようと思ってな」「へえ~、どうしちゃったんですか?ありえないっすよ」 「悪い、今日は家族サービスの日で」 「ホントっすか?」 そうも言いたくなる気持ちもわかる。 でも今は、家に帰り薬を飲んでとっとと眠りにつきたい、そう思うのだ。 そしてあの気持ちのいい白いモヤに包まれて何もかもリセットさせたい。
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