ヒナタ、ケーキ屋に

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ヒナタ、ケーキ屋に

 アオイはヒナタと目線をあわせ、一瞬外し、またあわせた。 「ケーキ屋さんになるのも悪くないかも……」  ちょっと自分でも信じられないぐらいだった。  ケーキ屋は、アオイの他に、柴サブロウ(通称シバ)というアオイと同年代の男と、三木谷リンコさんと三木谷ソウイチさんのベテラン夫婦がアオイの元で働いている。  顔合わせのときシバは目をキラキラさせて、こう言った。「僕たちが作ったケーキで笑顔を広めたいッスよ。アオイさんの理念は素晴らしいんスよ」と。  今どき少年漫画の世界にも珍しいような爽やかボーイ!  その様子をみたら三木谷夫妻は「まあ」と微笑むばかり。  とても穏やかな夫妻だと思った。  初日は、ケーキづくりとか色んなレクチャーを受け夕方前には一通りのことが終わった。  リンコさんがヒナタに小声で話しかけてきた。 「アオイちゃんどう?」 「最初はちょっと変わった子かなとも思いましたが、一緒に働けて楽しいなと思い始めてます」 「そう、アオイちゃん。いい子だけど、ちょっと変なの。銃に詳しかったりとか」 「え?」 「とにかく、アオイちゃんのことも含めよろしくねー。じゃあまた明日」 「は、はい。また明日」  
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