ヒナタとアオイ

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ヒナタとアオイ

 ある日の休憩中に各人のスマホにニュースが入る。  「〇〇県△△市で水道民営化導入決!」  一番過敏に反応したのはリンコさんだった。 「欧州では水道民営化に失敗して、公営化に戻してるとこがたくさんあるのになぜこの国はこうなの?」  ソウイチさんは仕方ないなといった声色で返した。 「せめて自分らのとこはそうならないようにしたいよな。な?若者よ、新聞ぐらい読まにゃ」   若者たちはその声を無視してゲームに夢中だった。  ヒナタがゲームよりケーキに生きたいと言ったら、アオイは「どっちもやれ。プライベートでゲームやってるパティシエなんかいくらでもいる」と言い、「むしろゲームでよく描かれるファンタジーな世界観を学べば独創的なケーキを作るヒントになるかもしれない」とアオイがヒナタにゲームを教わる展開にまでなっていた。 「ヒナタが好きな世界観はこんななの?」 「そう、色んな種族が助け合って村づくりをしている。そして村と村は時々協力しあう。一時期は本当にゲームの世界にだけ生きたいと思っていたの」   そこにシバが割り込んできた。 「なんの話をしているんスか?」  アオイは不機嫌になった。 「ちょっと、いま2人で話してるんだから邪魔しないでよー」
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