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夕闇と公園
「しごおわー」
アオイは仕事終わりにヒナタを誘い出した。
「なんか話したいことでもあるの?」
「んー、なんとなくね」
夕焼けに染まる道を二人で歩いていたら、後方から自転車の音とともに「シャシャシャシャ、セイー」と言った声が聞こえてきた。
その声の主は出前の板前みたいな格好をした男性だった。
「あら、久しぶりね」とアオイが挨拶をした。
どうやらアオイの知り合いらしい。
男性は立ち止まると、ものすごい早口でまた「シャシャシャシャ、セイー」みたいに捲し立てた。ヒナタにはまったく聞き取れなかった。
アオイは「こっちも、頑張ってるよ。あんたが町中華で日本の天下を取るまえに私がケーキで世界制覇しちゃうかも」と返した。どうやらこの男性はアオイのライバル的な存在であった。
男性は、自転車を急発進して去っていった。
あの公園に着いた。
アオイは今朝お店に来たというおばさんについて訪ねてきた。アオイは遅番だったのでおばさんと直接は会っていない。
なんとなくアオイもあのおばさんが気になるようだ。
夕闇に染まる林、カラスの鳴き声。
ときどきリスが見つかるらしいよみたいな話をしながら二人はそれぞれの帰路についた。
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