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 午後六時四五分、JR町田駅到着。    改札を抜けると、ペデストリアンデッキが目の前に広がっていて、モニュメント付近でストリートミュージシャンがギターをかき鳴らして熱唱している。先月だが先々月だか、同じ場所で歌っていた男女のデュオがいたが、彼らの方が百倍上手い。残念。合掌。心の中で手を合わせ、そのまま通り過ぎる。    待ち合わせ時間は六時半だ。つまりは少し遅れている。時間があると思い、余裕綽々で道中の本屋で立ち読みをしてしまったのがそもそもの失敗だった。内心かなり焦っている。焦ってはいるが、表面上は必死に冷静を装っている。髪の毛を振り乱してしまっは、せっかくの清楚系ハイソ令嬢風コーデが台無しになってしまうからだ。令嬢たるもの、いかなる場面でも気品高く優雅に振る舞わなければならない。
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