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もう少しそばにいて
カーテンから漏れる、冬の朝の陽で目が覚めた。
目の前に、全裸で寝ている駿の寝顔があった。私も全裸だ。
ふたりは私の部屋の狭いシングルベッドで抱き合って寝ていた。
上掛けの隙間から冷たい空気が入ってくる。
寒い・・・。部屋は冷えていた。
ごそごそと少しベッドに潜り込み、駿の胸に顔を付け、冷えた足先を駿の足に絡める。
『ふふ、暖かい』駿と一緒に寝る時は、冷え性に悩まなくて済む。
以前、「もし結婚したら、何が嬉しいか」と問われて、このことを話したら、「え~? 俺はカイロ代わりかよ」と愚痴られた。
駿は冷え性がどれだけ辛いか、そして、好きな人の体温で暖めて貰えると、どれほど和めるのか知らないのだ。
「うん・・・」駿が少し呻いて、絡めていた私の足先をいつものように自分の太腿に挟むようにして、暖めてくれた。
私の足が冷えすぎていたのだろう。「冷て!」俊が目を開け言った。反対に私の氷のように冷たかった足先はじんわりと、足湯に浸かったようにほぐされていく。
「目が覚めた?」
「うん、冷たさですっかり。(ベッドの外は)寒いね」
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