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「···ねぇイヴ、昨日はごめん」
昨日、告白してきたクラスのライアンが教室の窓側で友達と話していたイヴに謝ってきた。
「いいよ···気にしてないから」
どうしてわざわざ友達と話している時に謝ってくるのか彼女は少しイラついた。最近、自分の感情のコントロールが難しく自分が自分ではないようだった······
ライアンが去ったあと早速、一緒に居た友達のリサが何のことかと聞いてきた。
「別に大したことじゃないよ」
「えー、でもライアンすごく畏まってなかった?」
「そうかな······っ」
イヴは急に下腹部に痛みが走り、少し顔を歪めた。初めての痛みの感覚に彼女は取り敢えずトイレに行くことにした。リサも心配して女子トイレの入口までついて来てくれた。
「大丈夫? ···イヴ」
トイレから出てきた彼女は少し顔色が悪く、不安そうな表情を浮かべている。
「どうしよう···」
イヴは下腹部を押さえながらどうしたらいいのか分からないような状態でリサの腕をギュッと掴んだ。
「えっ! イヴもしかしてまだ?」
リサは察したのか“此処で待ってて”と言い、教室に戻って行った······
「どうしたの? 今日ご馳走じゃん」
大学から帰宅したクリスチャンがダイニングの食卓を見て少し驚いている。五年前は短髪だったクリスはブロンドの髪が耳に掛かるくらいの長さになっている。
「まぁ、お祝いってとこね」
キャサリンはニコニコして嬉しそうだ。エドガーはまだ帰宅しておらず、キャサリンとは対照的にイヴは少し暗い表情をしている。
「あっ···イヴもしかして」
この雰囲気に流石にクリスも分かったようだった。しかし彼女はこの場の空気に耐えきれなくなり、椅子から立ち上がると二階へと走っていってしまった······
「イヴ!」
キャサリンは追いかけようとしたが、クリスが止めた。
「母さん、俺が行くから···食事の支度してて」
クリスはそう話すと二階のイヴの部屋へと向かった······
「イヴ···入ってもいいか?」
少ししてからドア越しから「いいよ」と彼女の声が聞こえた。中に入ると暗い部屋でイヴがベッドの縁に座っていた······
「なんだよ、電気も付けないで···」
クリスは入口横のスイッチを押し、部屋の電気を付けるとベッドにいる彼女の隣に腰を下ろした。
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