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「大丈夫か?」
イヴはその問いに小さく頷くだけだった。彼女は14歳で初潮が来たのだ······もちろん授業で習い知ってはいたが、いざその時が来るとどうしたらいいのか自分でも分からなかったのだ。
取り敢えずはリサが生理用品(ナプキン)を貸してくれ、自宅に帰宅して母親に話したら月経中どうしたらいいのかを教えてくれた。
「···ママに恥ずかしいからやめてって言ったのに······」
「どうして恥ずかしいんだよ。母さんすごく喜んでたじゃん」
「なんか自分じゃないみたい···」
「大人になったんだよ。誰だって通る道だぜ、俺だって」
イヴはハッと顔を上げ、
「クリスも生理来たの!?」と冗談で言ったのか本当に驚いているのか分からないような感じで聞いてきた。
「男は来ないけど、···それなりには」
「えっ、何それ。ふふっ」
イヴはくすくす笑った。
「大人になってもイヴはイヴだよ」
クリスは優しく微笑んだ。
「うん···。ありがとう、クリス」
「ほら! 下で母さんが待ってるから行こう」
その日の夜、無事に家族でお祝いをしてもらったイヴはベッドの中でスマホとにらめっこをしていた······マークに話したら喜んでくれるだろうかと。
メールのやり取りも殆どしておらず(それはイヴが距離を置いていたので)、しかしいつまでもこんな状態ではよくないと思い始めていた。それは自分が少し大人になったからかもしれないーーーー
彼女はこれを口実にマークに会いに行こうと考えた。住所も知っているので突然行って驚かせてあげようと思ったのだ。整備工場が毎週土曜日定休日なので今週末に行こうと彼女は考えた。
そしてその週の土曜日ーーーー
イヴは電車でクイーンズウォークの駅で降り、メドーズ地区にやって来た。突然行って留守だったらどうしようかと思ったが、それ以上に久しぶりにマークと会うことに少し緊張している自分がいた。
水色半袖の膝丈マリンワンピースに黒のエナメルのオックスフォードシューズで、彼女なりに少しおめかしをしてきた。
駅から十分程歩くと、マークが住んでいるアパートに着いた。茶色いレンガ造りの建物(築年数が経っておりレトロ感がある)でイヴはステップを上がりメイン玄関を開け建物の中へと入った。入って二階へ上がる階段奥の通路にある102号室のチャイムを鳴らした······
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