【序章】

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それから一週間程が経過したーーーー 最近、クリスがあまり元気がなくマークは心配していた。三人でテレビゲームで遊んだ日を最後にこの一週間クリスは遊びに来ることも無く、何処かよそよそしく何か悩みがあるような様子だった。 「なぁクリス···なんか最近元気なさそうだけど何かあった?」 休み時間に教室の自分の机で本を読んでいたクリスにマークは話し掛けた。 「えっ···そうかな? 何もないし、お前の気のせいだよ」 しかし彼はあの日からずっとイヴが言っていたことが頭から離れず、一人で悩んでいた······マーク達が父親からやらされている事はクリスには十分理解できていた。 「マーク···」 「何?」 「···ううん。またその内、三人で遊ぼうぜ」 笑顔になったクリスを見てマークは安心して自分も笑顔で頷き、返事をした。しかしその約束が叶うことはなかったーーーー 父親のジェームズ・モートンが逮捕された。その日は五月にしては肌寒くどんよりとした曇り空の日曜だった······家族三人で朝食をとっていると玄関のチャイムが鳴り、イヴが笑顔で出迎えたのは二人の警察官で異変に気付いたジェームズとマークもやって来るとイヴは怯えるようにマークの後ろに隠れてしまった。 警察官の話によると匿名で通報があり、自宅を調べさせて欲しいとのことだった。ジェームズは抵抗も拒否もせず要請を受け入れた······一人は一階と二階を、もう一人は地下室を調べた。そして一階のジェームズの書斎から大量のメモリーカードが見つかり、そこにはマークとイヴの裸の映像が記録されていた。 ジェームズはそのまま警察官に連行され、マークとイヴは児童相談所の職員に保護された。モートン家に親族は()らず、二人は暫くシェフィールドにある児童養護施設で暮らすことになった。イヴは父親が逮捕されたことはまだ理解出来ておらず、突然慣れ親しんだ家から離れることになり不安からかずっとマークのそばを離れようとしなかった······ 「お兄ちゃん···パパは? お家に帰りたいよ···」 イヴは家を出る時にマークが持たせてくれたリゼルをギュッと抱きしめている。 「父さんは暫く仕事で帰って来ないんだ···だから僕達も暫く此処で暮らすんだよ」 マークは自分も不安だがそれ以上に彼女の不安を考え、なんとか安心させようと父親は仕事で帰って来ないと嘘をついた······イヴはそのまま黙ってしまった。
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