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「お兄ちゃん···一緒に寝てもいい?」
夜、眠っているとイヴが二段ベッドの上から下りてきてマークの元へとやって来た。
「いいよ、おいで」
イヴはマークの布団の中に潜り込んだ。
「お兄ちゃん···私がクリスのとこに行っても私のこと忘れないでね···」
「イヴ······。バカだな、まるでもう二度と会えないみたいじゃないか」
「そうだね」
彼女はふふっと可愛らしく笑った。
「リゼル置いてくね、お兄ちゃん一人だと寂しいよ」
彼女の瞳に涙が浮かんでいるのがカーテンの隙間の月明かりで薄らと見えた······イヴは幼いながらも強く生きようと本能的にそうありたいと感じているのだ。
「大丈夫。リゼルはイヴと居たいって」
マークはリゼルを彼女の元へ寝かせてあげた。イヴはニコッと微笑むとリゼルを抱きしめた。
「······イヴ」
マークは彼女にキスをしたーーーー
「おやすみ」
「おやすみなさい、お兄ちゃん」
これでよかったのだ······もうこれで全てが普通になる。妹と裸で遊ばされたり、自分達がそういう嗜好の大人達の見世物にされなくて済む······そして自分が彼女に妹以上の感情が芽生えそうになっていることも···いや、もう既にそうなっている。
離れた方がお互いの為だとマークは思っていた······
「マーク···本当にごめん。俺······」
次の週の日曜日に養護施設にローレンス夫妻とクリスチャンがやって来た。必要な手続きが完了し、イヴを引き取りに来たのだ。
「クリスが謝ることないよ。···それよりイヴのことよろしく」
二人はマークの部屋でクリスの両親とイヴが園長室から戻って来るのを待っていた。
「ああ、もちろん。なぁマーク···俺達ずっと親友だよな」
「何言ってんだよ、当たり前だろ! ずっーーーと親友だよ」
マークは明るく笑った。此処に来てからずっと思い詰めた表情だったクリスもやっと笑うことができた。
「お兄ちゃん!」
イヴが笑顔で戻ってきてマークに抱きついた。
「終わったのかい?」
「うん」
そして後からローレンス夫妻もやって来た。エドガーがイヴの荷物が入っているカバンを手に持っている。
「マーク、この後君の家に彼女の制服とか要る物を取りに行くんだが君の物も纏めてこようか?」
と、エドガーが申し出る。
「ありがとうございます、でも大丈夫です。僕は後日、職員の人と行く予定になってるので」
「それじゃあ、そろそろ行きましょうか······」
キャサリンがクリスとイヴに声を掛けた。
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