act.5

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  「ぱっ⋯⋯パパ活って⋯⋯おまえっっ⋯⋯! エホッ」 「最初はレンタルカノジョ系のサイトで知り合ったんだけど、そのうちパパ活掲示板のほうに誘導されてー」 「簡単に誘導されんなっ……」  レンタル彼女だろうがパパ活だろうがやってる事は一緒だろ。派遣か自発的か、業者通すか直で呼ぶかの違いだろ。だいたいパパって年でもないだろ。俺らの年代の子どもならせいぜい小中学生くらいだろ。いや論点はそこじゃない。 「普通に彼女作ればいいだろがっ」 「俺、三交代シフトの勤務してるから大概の人と生活サイクルが合わなくて。こっちの都合ばっかで振り回すのも悪いし」 「……三交代」 「休みも三日出て一日休んでって感じだし、世間一般とのズレがどんどん広がってるかもー」  勇魚は航空保安協会の委託企業で働いているらしい。空港敷地内のパトロールをはじめ草刈りをしたりゴミを集めたりもするんだとか。どおりでこんがり灼けている訳だ。 「バードストライクって聞いた事ある?」 「鳥が飛行機のエンジンにぶつかるやつ⋯⋯?」 「新幹線とかの鉄道もよくぶつかる。鉄塔とか風力発電のハネも。取り敢えず鳥さんと人工物の衝突全般のこと」  wiki先生によると『高速移動中の人工構造物への衝突の場合は小鳥程度の大きさであっても非常に衝撃が大きく、重大事故に発展する可能性もある』 『航空機におけるバードストライクは離陸動作中(滑走、離陸直後)もしくは着陸動作中の速度が比較的遅く、高度が低い時に起こりやすい。この時間は特に危険なクリティカル・イレブンミニッツ、魔の11分とも呼ばれる』  ふむふむ。 「メーカーも空港も色々防止対策やってるけど、結局はアナログな方法で鳥さんが近づけないようにするのが一番手っ取り早い。空砲打ったり爆竹鳴らしたり車載スピーカーで威嚇しながら巡回したり」  再会した時の姿を思い浮かべる。作業服にサングラス、ヘッドホンみたいな丸い何かも首にぶら下がっていたかも知れない。そして最も不可解だった謎が解けた。 「鉄砲持って走って来やがって。おまえの存在そのものが甚だしい威嚇だったわ」 「鉄砲て。ただのモデルガンだし。空は鳥さんのテリトリーなのに人間の方が侵入してるんだから、せめてデッカい鉄の塊が来るよー危ないよーって教えてあげないとねー」  海や河川が近い空港では環境的に鳥が多く事故が発生しやすいから『バードパトロール』なる専門職もあるそうだ。そう言えばK空港は一級河川のすぐそばだ。  川の周辺にも電線がなくて、河川敷のサイクリングロードを走るのは凄く気持ち良かった。イオンの向こう側へ沈む夕陽が綺麗で、赤く照らされた勇魚の笑顔が可愛くて⋯⋯⋯⋯いやいや。  何にしたって世の中には色んなお仕事があるんだ。空港環境管理⋯⋯かなり勇魚らしい職業だ。うん。
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