act.5

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   かと言って三交代制だからパパ活と言うのは全く解せない。映画鑑賞の三時間はみーなちゃんを、夕方の空港見学はしーなちゃんを二時間、それぞれレンタルしたなんて笑うけれど。 「二人ともいい子だよー。俺のリピート率高い子ツートップ」 「いつもお世話になってます〜もその界隈にマニュアルでもあんのか」 「そうなんじゃないかな〜知らんけど〜」 「知っとけ」  俺の持つそう言ったお商売のイメージは多少なりとも如何わしい含みがあるのが正直なところだが、勇魚はどこまでも飄々として少しも悪びれる様子がない。パパ活って合法なのか? 非合法な事はしていないと言う自信の表れか?  それにしたって映画はともかく仕事で空港にいるワケだろ。わざわざ女の子レンタルしてまで飛行機見に行くってどうなんだ。 「だって一誠に断られたし⋯⋯いやあの、状況的にしょうがないって言うか当たり前だけど⋯⋯ゴメンナサイ」 「気にすんな。何回も言わせんな」  時間が経つごとに体の右側の熱が高くなっている気がする。会話が、情報が増えるごとに見えない壁がどんどん薄くなって⋯⋯勇魚の体温に吸い寄せられそうになる。触ってしまいそうになる。いやダメだ。絶対ダメ。ダメダメダメ。 「俺って昔から寂しがり屋さんだから」 「⋯⋯⋯⋯自分で言うな」 『一誠! 移動教室!』 『一誠! 学食行こー!』 『一誠! 早く帰ろ、もうすぐ空のラッシュアワー!』  “寂しがり屋” の勇魚は毎日毎日纏わりついてスキンシップも激しかった。こっちの気も知らないでホイホイ抱き着いてくんなと恨めしく思いながらも嬉しかった。  あの頃はちゃんと隠せていた。勇魚の無邪気さと勢いの前では恋心なんて表に出す暇もなかった。親友の延長線上で流されていられた。  だけど今の俺は。  期待しちゃいけないのに、踏み込みたくないのに、もっと知りたいと思ってしまう。諦めても諦めても諦め切れない想いが膨れ上がってしまう。限界までパンパンになって───── 「一誠こそ恋人は? 結婚してないの?」 「俺、ゲイなんだわ」  もういい。  俺は限界まで耐えた。ジェットコースターのような情緒の乱れに翻弄されながらも耐え抜いた。これ以上無理だってところまで来たなら壊すしかない。『友情』なんて『親友』なんて糞食らえだ。 「⋯⋯ぇ⋯⋯」 「俺は男が恋愛対象の男なの。だから結婚は出来ないししない」 「⋯⋯じゃあ、男の恋人とかいんの⋯⋯一誠に」 「それは、」  流石に隣へ視線を移すと勇魚の顔が真っ白でびっくりする。人間の顔ってこんなに白くなんのかって思うくらいに白い。
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