4#なのを助けたノウサギ

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 ・・・・・・  「ここはどこ・・・?」  目覚めたネザーランドドワーフウサギのなのは、目の前に遥かに図体の大きなノウサギが見つめている事にビックリして飛び上がった。  「ネザーランドの小さなうさちゃん、元気に跳び跳ねて元気そうで良かったわ。  脚は完治よ。もう少し遅く私が来なかったら、貴方の脚はくくり罠で捥げてたわよ!!  脚をよーーーく、冷たい川にひたして血の気がもどるようにマッサージしたんだから!!」  ノウサギは、ネザーランドドワーフウサギのなのを抱き締めて言い聞かせた。  「ホント、君は捨てられたんだね・・・寂しかったでしょ!!苦しかったでしょ!!  でも、私がついてるから・・・あんたひとりじゃないわ。」  ノウサギの目から大粒の涙が零れ出た。  「捨てられた・・・?」  ネザーランドドワーフウサギのなのは、ショックを受けた。  「何で、私は・・・捨てられたの・・・?」  「ホント!!あんたを捨てた薄情者の飼い主に、私はウサギキックをお見舞いしたいわ!!飼うなら最期まで飼えっていうの!!  ウサギだからって、可愛いからって衝動で飼えっていうの!!」  ネザーランドドワーフウサギのなのは、激昂するノウサギにこう言って会釈した。  「ありがとう!!大きなウサギさん!!危ないとこを本当に!!」  「お互いウサギ同士、助け合わなければねぇ。  あ、そうだ紹介はまだだったわ。  あたし、ノウサギの『あかり』っていうの。宜しくね。」  「あ、私は『なの』って言うんだけど。ねぇ、なのさん・・・でいいのかな?  一緒にわたしと・・・」  あかりがそう言おうとしたとたん・・・  ダーーーーーーーーーン!!  ダーーーーーーーーーン!!  いきなり近くで銃声が聞こえて、2羽は仰天して飛びあがった。  「ハンターはここまで来たわ!!ねぇ!!あたしは『ノウサギ』。あんたは『野良ウサギ』。  居る世界が違うの!!  厳しい事言うけどここからは、あんたが自分で生きのびなさい。これが野生の鉄則よ。さあ!!行きなさい!!おチビちゃん!!」  ノウサギのなのは、慌てて早口で言ってからネザーランドドワーフウサギのなのに振り向いかえってウインクして、脱兎の如く遥か向こうへ走り去って行ってしまった。  「ノウサギ・・・なのさん・・・」  ダーーーーーーーーーン!!  ダーーーーーーーーーン!!  「やば!!あかりさんが救ってくれたのにここに居たら台無しになるわ!!」  ネザーランドドワーフウサギのなのは、慌ててその場を離れて大急ぎでピョンピョンと駆けていった。  ・・・あれも・・・私と同じウサギ・・・あたしもあんなに逞しいウサギになれるのかしら・・・  狩猟解禁で修羅場と化した山林を後にしたネザーランドドワーフウサギのなのの胸は、ひと駆けごとに熱くなった。  それは、あかりの『ウサギ』としての探求の大冒険の出発だった。  ~恐怖の狩猟解禁~  ~fin~
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