第1章 再会~鶴岡side~

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 ここの学校に新しく赴任してくる先生は俺の他に6人。一人は俺と同じく新任で、新卒の女性。なので、俺より歳は一つ下だ。他の先生たちは、違う学校から来る先生である。 「失礼します。校長先生、おはようございいます。」 「鶴岡先生!今日から即戦力として3年生をよろしくお願いしますね?」 「いえいえ…まだまだ力不足ですし、私は新任の身なので…先生方から色々学び、生徒の実力を発揮させられるような教員になっていきたいと思っております。今日からよろしくお願いします。」 「そんな畏まらなくて大丈夫ですよ、講師時代の先生の評判も耳にしているし、鶴岡先生なりに頑張ってくださいね。」 「ありがとうございます。それでは失礼します。」 「はい、それでは後程。」  校長に挨拶を終えた俺はフーッと一息ついた。…そう、俺が任されたのは受験を間近に控えた3年生の国語の授業。3ー5の副担も任されている。クラス担ではないためまだ負担は少ないが、新任にも関わらず3年生の授業をもたされるのはかなりの重圧だ。  幸い、全部のクラス担当ではなく4~6クラスの現文と古典を教えるのでまだ良いが、他のクラスは大ベテランの先生が教えるため、差が出ないように教えなければならない。…それが不安だった。 「あ、…そうだ。3-5担任の島津先生と、国語科の先生には挨拶しておこう…。」  そう言って俺は他の先生たちに軽い挨拶をしに行った。  ひと通り挨拶も終わり、そうしているうちに先生たちも続々と出勤してきた。軽く始業式や新任式の確認を行った上でいざ、本番。  新任式を先に行い、そのままの流れで始業式を行うとのことだった。そこで担任の発表も行われる。  緊張する中、自分の名前が呼ばれ全校生徒の前に立つ。人が多すぎて緊張どころではなかったが、お辞儀をするのと同時に深く息を吸った。 「今年から新採用になった鶴岡聡です。ひとりひとりの生徒の『わからない』という疑問を自分の中で明確にし、わかるまで丁寧に教えたいと思っています。きっと皆さんからハッとさせられるような質問を投げかけられるような気もしていますが、精一杯応えていきたいと思っています。よろしくお願いします。」  長い挨拶をする先生もいるが、自分が学生時代、話の長い先生はそんな好きなイメージが無かったため、できるだけ簡潔に挨拶はしようと努めている。  一礼をして用意してあるパイプ椅子に座ってホッとしていた時、生徒の方から強烈な視線を感じた。
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