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何だか物騒な発言をしている楠木に対して、身の危険を覚える。
「あのなぁ、だからお前とは…」
食べない、と言いかけた時楠木を呼ぶクラスメイトの声がした。
「想ー!昼一緒に食おうぜ!」
「…今行くー!」
そう返事をした楠木に対してホッと息を付き、そそくさとその場から離れようとした。
「先生。」
「まだ何か…」
「昨日言ったこと、本気なんで。…またご飯誘いますね。」
「いや、だから生徒とは食べないって…」
そう言いかけているうちに楠木は友達の元へと向かってしまった。
「はぁぁぁ…。」
「わ!どうしたんですか?鶴岡先生。」
職員室に入るなり、大きな溜息をついた俺にびっくりしたかのように、香椎先生が声を掛ける。
「あ…すみません、何か凄い疲れて。」
「大丈夫ですか…?授業、やっぱり大変でしたか?」
「あぁ、まぁ…そうですね…。」
実際には授業ではなく、楠木に振り回されて…ではあるが、そんな事同じ教員に相談できるはずもない。
「昼休み、そんなに時間ないですけどゆっくり休んでくださいね。」
「…ありがとうございます。まぁ、午後の授業もないので、少しゆっくりします。」
そう言って笑顔を張り付けて返事をすると、それ以上香椎先生も声を掛けてこようとはせず、昼食を摂り始めた。
俺はというと、机に突っ伏した後すぐ我に返って、午前中の授業の確認作業を行った。
30分ほど経っただろうか。そろそろ購買も空いた頃だろうと立ち上がり、購買へ向かった。
案の定、人はまばらにしかいなくて、売れ残りの総菜パンが並んでいた。
「これとこれ、お願いします。」
「あら、新任の先生?若いわねー。こんな売れ残りのパンで良かったの?」
「はい。鶴岡と申します。いいんですよ、育ち盛りの高校生の余り物で俺は十分ですから。それに、高校生たちとパンの争奪戦なんてしたくないですからね。」
そう言って笑うと、購買のおばさんも笑っていた。
「私からしたら鶴岡先生も十分育ち盛りみたいなもんだけどね。はい、320円ね。」
「もうこれ以上大きくなってもいいことないですからね。」
そう言いながら320円を渡し、おばさんの「ありがとねー」という声を聞き、俺は職員室に戻った。
職員室で大して美味しくもない総菜パンを頬張りながら、授業の振り返りの続きを行った。
『昨日言ったこと、本気なんで。』
急に楠木の顔と、先ほど言われた言葉を思い出し、頭を振った。
集中しなければ。一生徒に振り回されてどうする。…あんな言葉、気にしたら負けだ。
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