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「転生、すなわち第2の人生を別の時代で歩むということだ。そして、お前は前世の記憶持ち。叶えたいことは、次こそはつるという人間と恋をし、幸せになる。…そうだろう?」
「そうだけど…。」
「そこでだ。お前とつるを同じ時代に転生させてやる。…だが、性別も年齢もこちらでは操れない。さらにつるの方には前世の記憶は与えられない。だからお前が自力で見つけるしか方法は無い。…それでもお前は転生したいと思うか?」
性別も、年齢も、そして前世の記憶も…それでもまたつるに会えるのなら。つるの生まれ変わりに出逢える可能性が少しでも残されているのならば…。
「俺は、逢いたい。逢って、今度こそ好きだと、愛してると伝えたい。」
「そうか。…出逢えない可能性だってあるぞ?」
「それでも俺は絶対に見つけ出してみせる。…俺のつるへの愛情を見くびんなよ?」
そう言うと神は笑った。
「そうか、それでは我はお前たちの行く末を空から眺めておるからな。健闘を祈る。」
スッと目の前から消えた神。
眩しすぎるほどに白い空間に包まれた次郎は目を細める。
「つる、絶対にお前を見つけ出してやるからな…。」
そう呟いた次郎は白い光に包まれてそのまま消えた。
ーーーーー
目を開けると、見知らぬ顔が二つ。
「あなたの名前は楠木想。今日からここの家の子よ。」
次郎こと楠木想は、ここから第2の人生を歩むこととなる。
そこから想は、つるの面影を求めて何年も何年も過ごしてきた。
前世の記憶があるからと言って、想に他人の前世が視える能力が備わっていたわけでは無い。ただ、ひたすらに誰にも関心が持てなかった。
想は気付いていなかったが、自分の顔は『モテる』顔らしく、小中と女子からは何度も告白された。
しかし、自分の中では彼女らにつるの面影を感じることは無かったため、「好きな人がいる」と言ってその度断ってきた。
そんな日々を過ごす中、想もこの時代に生きて17年…。高校3年になった。
…正直、もうどこへ行っても逢えないのではないか、そう思う自分もいた。確かに、同じ時代は生きているのかもしれない。それでも一生逢えない場所にいたり、すでに相手がいたり…そんなマイナスなことばかりを考えるようになっていた。
それでも、一縷の望みを捨てきれずにいた想。そんな想の最後の高校生活が始まろうとしていた。
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