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 特殊能力を無効化されたコンパス怪人は隙だらけであった。 マグネット・レンジャーズの縄張りとも言える磁界では、 磁力が重力すらをも上回る。 磁気浮上により、コンパス怪人の身体は徐々に持ち上がっていった。 訓練を積み重ねていなければ、空中ではなかなか身動きが取れるものではない。 スーサが牽制しているうちに、 広場の隅に設置されていたゴミ箱を運んできたノルス。 彼とスーサは速やかに手を取り合い、間にゴミ箱を据えた。 辛うじて地面に足がついたコンパス怪人は、 磁力の枷を取っ払い、二人に飛び掛かろうとする。 しかし、既に手筈は整っていた。 「これでとどめだ、電磁巨砲(コイルガン)発射!」 両手を連結点として、ノルスとスーサは一本の電気回路を成した。 ノルスがゴミ箱を蹴り上げたタイミングで、ブレーカーを細かに調節する。 始めは些細な原動力でも、加算された電磁気力がそれを何倍にも増幅させた。 電磁石の特性を熟知した彼らからすれば、 放電を補助するコンデンサーさえ必要ない。 ゴミ箱は加速を極め、遂にトップスピードで弾き出される。 マッハを超過した弾丸は見事にコンパス怪人の腹部を撃ち抜いた。 間髪入れず、骨に等しいガラス片が辺りに散乱する。 核を打ち砕かれたコンパス怪人は呻き声を発し、そのまま仰向けに倒れた。
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