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コンパス怪人の討伐成功を確認すると、磁場は独りでに消え去った。
熾烈な戦闘であったにもかかわらず、ノルスもスーサも額に汗一つ掻いていない。
程なくして、タブレットにビデオ通話の着信が入る。ドクターからだった。
「二人ともよくやった。晩はピザをご馳走してやるぞい」
「いつまでも子ども扱いすんなって。そんなんじゃ喜ばねぇから」
「ハハハ、それは悪かった。スーサはどうなんじゃ?」
「私、ダイエット中だからいらない」
「難しい年頃じゃのう。じゃあ、帰っ……」
画面には唐突に砂嵐が流れ、通信は完全に切れてしまった。
「おい、ドクター! ドクター!」
何度掛け直しても応答はない。
最悪の想像をした二人の血の気がさーっと引いていく。
「研究所に何かあったのかも……」
「急ぐぞ」
二人は脇目も振らずに街路を飛び移る。
ここから研究所までの道のりはおよそ30分。
ドクターの無事を祈るばかりの空虚な時間がとてももどかしかった。
今しがた快勝を収めた彼らにとって、
この後に別次元の脅威が待ち受けていることは知る由もない。
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