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3
研究所に辿り着いたノルスとスーサは、開いた口が塞がらなかった。
眼前に広がるのは、息苦しさも忘れるあまりにも凄惨な光景。
施設は無残にも半壊し、血に塗れた研究員たちが数多く地に突っ伏していた。
二人は我を忘れてドクターのもとへ駆け寄る。
「ドクター! 返事をしてくれ!」
「お願い……」
皺の被さった瞼がうっすらと開けられる。
微かに意識を取り戻したとは言え、危篤状態に変わりはなかった。
「おぉ、ノルスにスーサ……奴じゃ、メタルドレイクの仕業じゃ」
「そいつは今どこへ?」
小刻みに震える指が遥か上空を差す。
鋼鉄の四肢から切れ味鋭い爪を生やした怪獣が、
巻層雲の真下で銀翼をはためかせていた。
「メタルドレイクこそ最も世界を脅かしかねん。
いずれは倒さなければならないと思っていたが、
まさか向こうから襲撃してくるとは……。後は頼んだぞ」
瞼は再びゆっくり閉じられる。
ノルスは抱えていたドクターの身体が不意に軽くなった気がした。
この永い瞬きに終わりは訪れない、と二人はすぐに理解した。
完璧な沈黙をノルスが一思いに破る。
「最後の戦いだ。覚悟はいいか?」
スーサが無言で頷くと同時に、
従来の比にならない強度を誇る磁場が、泡沫の空間に隙間なく敷き詰められた。
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