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ノルスは研究所の壁にドクターの亡骸をそっと寄りかからせると、
メタルドレイクを一心に睨みつける。
育ての親を失った彼の瞳は溢れんばかりの憎しみに満ちていた。
それはスーサも同じだった。
「てめぇに明日は来ねぇよ」
コンパス怪人と相対したときと同様に、
ノルスとスーサは磁場を縦横無尽に駆け回る。
磁場の範囲内であれば、彼らは空中を踏み台にすることも造作はない。
その挙動に従って、次々と磁力線が標的の心臓を目掛けて伸びていく。
けれど、メタルドレイクはコンパス怪人とは一味違う。
翼を活かした持ち前の機動力を前にしては、
絶え間ない磁力線攻撃も全く命中しなかった。
非情にも成果に見合わない体力の消耗が続く。
「こうなったら少し早いが仕方ねぇ。スーサ!」
「だと思って、用意してるわ」
研究所から拾ってきたモーターを数個手渡すスーサ。
二人はまたも手を繋ぎ、メタルドレイクの行動パターンを見極める。
決して焦ってはいけない。静穏の先にようやく顕れる真理がある。
「今だ、電磁巨砲発射!」
モーターが爪先に接した途端、目にも留まらぬ速さで連射される。
巻き上がった大量の砂埃が視界を遮るため、
二人はじっと結末を待つばかりだった。
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