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2.天才魔法少女
私は4歳時にお散歩中、誤って通ったそのゲートで、周囲仰天のグリーンゲーターとなり、そこで見出され『天才魔法少女』と呼ばれるようになった。
よく覚えている。母さんからはぐれて通った門が、突然美しい緑色に、宝石のように輝いた。私はそれを見上げ、惚けていた。
すると次々に私の周りを大人達が囲んで歓声を上げ、私にキャンディやらパンやらをたくさん持たせてきた。そんなことより私はとにかく母さんに会いたくて、人混みの中をキョロキョロしているだけだったから、大人達が喜んでいるのも分からなかったし、ただ単純に怖かった。
私を見つけた母さんが事情を把握した時、涙ながらに私をきつく抱きしめた時、そこで初めて私はすごいことをしたのかも知れないと悟ったのだ。
――ラスブルクの希望の星・天才魔法少女ケーナ。
その名は国中に轟き、私は一躍時の人となった。
飛ぶ鳥を落とす勢いのまま成長した私は、当たり前のように狭き門である国立の名門魔法学校<エル・スペクト>に入学し、そこでも成績は無双状態。幼少時からの周囲の期待に恥じることなく、将来を嘱望されたまま14歳になった。
ラスブルクでは18歳を過ぎてから冒険者組合に斡旋されるのが一般的だが、私の場合「飛び級」されることも現実視されていたし、実際そういった引き合いもあったと聞いている。
――そんな時、悲運は前触れもなく訪れた。
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