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4.天才魔法病女
私にとっての悲報は、小国ラスブルクにとっての受難でもあった。
国直属の偉そうな人が面談に来たり、診察に来たり、私の中の魔力だけでも有効活用しようと、魔具によるサポートを試みたり。
でも良い結果は得られなかった。魔力の通用口自体が狭いのだから、魔具に注ぎ込める魔力だって同じこと。強力な魔具など使えない。
そうして病気の発覚から1年くらいは、国もあの手この手で私を救おうとしてくれたが、どれも結果が芳しくないと分かると、徐々に手を引いていった。
今も街でゲートを通れば、当たり前のようにグリーンに点灯する。それを見て喜び勇んで現れる街人は、皆一様に私を見てがっかりするのだ。「なんだ、天才魔法病女か」と。
――どいつもこいつも手のひらを返しやがって。
そんな風に考えていた時期が私にもありました。
いつの日か有効な治療法が見つかるかも知れないし、原因不明ということは突如訳もなく治癒したとしても不思議ではない。そういった希望を抱いていたこともあった。
でも今の私はと言えば、そんなのちっとも意味がないと思っている。
希望に縋ったって、過去を恨んだって、何も生まれやしない。
万が一、希望通りのことがいつかあったとしても、それじゃあ今の私があまりにも不憫じゃないか。運命に膝を屈していた日々が、あまりにも無駄じゃないか。そう考えている。だから現状を嫌々ながら認めつつも、私はしっかり前を向いているつもりだ。
周りから『魔法病女』と揶揄されても、私は心までは病んでいない。むしろ、昔出せた火の魔法なんかより、心は反骨に燃え盛っている。
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