第十七章 理樹さん愛しています

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すぐにでも会いに行きたかったが、会社のこともあり、今日に至った。 「亜紀、退院おめでとう」 「ありがとうございます、ごめんなさい、どなたですか」 「僕は東條ホールディングス副社長、東條健です」 「東條?ご兄弟ですか」 「よく言われるが偶々苗字が同じだけなんだ」 「そうですか、なんか何にも思い出せなくて」 「ゆっくり思い出せばいいよ」 健はまた来るよと言ってマンションを後にした。 「そうだ、これ」 俺は亜紀にニューヨークのガイドブックを見せた。 亜紀は手に取ってページをめくっていった。 「素敵ですね」 二人で行ったブルックリン橋のたもとの公園のページで手が止まった。 俺は亜紀の様子を感じ取り声をかけた。 「亜紀、大丈夫か」 亜紀は目にいっぱいの涙を溢れさせて泣いていた。 「なんかわかんないんですが、すごく懐かしい気がするんです」
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