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すぐにでも会いに行きたかったが、会社のこともあり、今日に至った。
「亜紀、退院おめでとう」
「ありがとうございます、ごめんなさい、どなたですか」
「僕は東條ホールディングス副社長、東條健です」
「東條?ご兄弟ですか」
「よく言われるが偶々苗字が同じだけなんだ」
「そうですか、なんか何にも思い出せなくて」
「ゆっくり思い出せばいいよ」
健はまた来るよと言ってマンションを後にした。
「そうだ、これ」
俺は亜紀にニューヨークのガイドブックを見せた。
亜紀は手に取ってページをめくっていった。
「素敵ですね」
二人で行ったブルックリン橋のたもとの公園のページで手が止まった。
俺は亜紀の様子を感じ取り声をかけた。
「亜紀、大丈夫か」
亜紀は目にいっぱいの涙を溢れさせて泣いていた。
「なんかわかんないんですが、すごく懐かしい気がするんです」
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